永井豪ホラー短編集
髑髏の館
COMENTS  それまで単行本化されていなかった短編の中でとくにホラーものを集めた質の高い短編集である。巻末に豪氏による作品解説あり。

NICHIBUN COMICS<A5判>(日本文芸社)1995.4.10

  • RED STRING「ヤングジャンプ」 (集英社) 1990.3/28号
  • 鬼ごっこ「小説中公」(中央公論社)1993.1月号
  • 鬼婚式「小説中公」(中央公論社)1993.2〜3月号
  • 遺品「女性セブン」1977.8/31号
  • 髑髏の館「女性セブン」1979.7/27〜9/26号

  • RED STRING
    「週刊漫画ゴラク」で長編連載をしていた「バイオレンス・ジャック」がようやく終わった頃、ぼくが新人の時代からつきあっていたS編集長がぶらっと遊びに来ました。以前からぼくは超常現象や心霊などに興味を持って、事あるごとに喋っていたのですが、彼は頭から信じない超リアリストだったんです。ところが、ある時そのS編集長が大病を患い、救急車で運ばれる途中幽体離脱を経験したことから180度転換してしまったようです。今度はぼくに「霊界ものを描いて」と依頼して出来たのがこの作品です。

    鬼ごっこ
    1992年、ぼくはNHKの「歴史発見」という番組に出演しました。テーマは「酒呑童子伝説」。酒呑童子は誰だったのかということを、鬼に詳しいぼくがレポートするというもので、そのとき、酒呑童子伝説に関してかなりの資料を新たに読むことができ、また発見もありました。ただ、実際の番組の中で取り上げることが出来たのはその中のわずかな部分でしかなく、後で思いついたことなども含めて何らかの形でいつか発表してみたい、と考えていました。中央公論社から「小説中公」という小説誌を創刊するので連載をしてくれないかという話があったとき、これをやれると思ったのです。
    1993年、「闇の宴」というタイトルで始まったこの連載。最初は酒呑童子伝説に関する考察に、鬼をテーマにしたショートストーリーを加えた構成で始まりました。ところが途中から、考察の方が多くなったので、ショートストーリーの方はやめてしまいました。「闇の宴」を単行本にするとき、2本あったショートストーリーは構成上抜いてしまったのですが、今回ここに収録できました。すなわち、この「鬼ごっこ」と次の「鬼婚式」です。「鬼ごっこ」は子供の日常にひそむ恐怖に、鬼という形を与えて描いてみました。


    鬼婚式
    「白い世界の怪物」という話を昔描いたのですが、その大人向けバージョンを描いてみようと思ったのがこの作品です。「白い世界」も鬼テーマの作品で、子供の視点から秋田のなまはげを描いたものです。ラストはハッピーエンドでした。「鬼婚式」は主人公を女性に変え、雪で社会から隔絶された山奥の村に、もしこんな慣習があったら、という恐怖を描いてみました。

    遺品(原作/高円寺博)
    1977年に、女性誌に初めて描いた作品です。当時ぼくは週刊少年マガジンで「手天童子」を連載してました。そこに対象年齢、性別、雑誌の性格が全く違う話が来て、正直とまどいました。原作がついたので、原作者と「どういった傾向の話がいいんだろう?まずは探ってみよう」ということで描いた記憶があります。

    髑髏の館
    1979年、連載では「凄ノ王」をやっていた頃の作品です。女性向けのサスペンスを、ということでいろいろ考え、昔から好きだったヒッチコックの「レベッカ」で行こうということにしました。舞台は人里離れた洋館。主人公は「レベッカ」と同じく、見知らぬ所に嫁ぐ美しい女性です。心理効果を盛り上げるため、登場人物は二人だけです。
    サスペンスですから、主人公は毎回恐怖におびえます。もう一人の登場人物である夫はおきまりでそれを信じてくれず、さらになにか秘密を持っていることにします。ここまでくればもう話は出来たようなものです。これにモチーフとして「髑髏の怪人」というホラー映画の要素を取り入れると当然その正体は夫になり、「髑髏の館」となったわけです。


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